Game Journal.Net ゲーマーによるゲーマーのためのボードSLG専門誌

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最新号

ゲームジャーナルNo.12 日本史の宴

表紙

解説

日本のウォーゲーム界では、近年日本史テーマのゲームに関する期待が高まってきていますが、ゲームジャーナルではこれまでにも積極的に数多くの日本史ゲームを取り扱ってきました。日本史ウォーゲームのこれまでの実績と今後の展望を、徹底的に特集します。

8人のサムライが贈る!私のお薦め日本史ゲーム
壬申の乱 / 戦国群雄伝 / 太平記 / 新撰組 / 信長最大の危機 / 真田軍記
織田信長 / 戦略級関ヶ原

総力特集:壬申の乱
壬申の乱・全経過
リプレイコミック 松田大秀

特別企画
鈴木銀一郎杯 第1回選考結果発表!!
東京地区選考委員会レポート
鈴木銀一郎&高梨俊一&鹿内靖&福田誠
シモニッチ氏新作独占インタビュー!!

解説


「高梨作品に外れ無し」とまで言われ、日本を代表する名デザイナーとして今日でも評価が高い高梨俊一氏の往年の名作、「壬申の乱」が本誌収録作品として再販される。
「壬申の乱」は出版当初、テーマの認知度からそれほどゲーマーの目を引いた作品ではなかったが、今日でも全く色あせない新鮮かつ奥が深いシステムで、じわじわ支持を広げて次第に人気が上昇していったという異色の経緯を持つ。
特に玄人肌のゲーマーに高く評価されている「いぶし銀」の如き名作であるが、出版当初はあまり人気が高かったとは言えずこのため普及しておらず、入手難が続き「幻の名作」となっており、再販が強く望まれていた。

MAP/ユニット

内容

ゲームシステムは、1スタックづつ移動力を消費しながら移動/戦闘をおこなうという、いわゆる現代戦SLGでは有名な「セントラルフロントシステム」。古代戦とは思えないような近代的なシステムを採用しているばかりか、ダイスを振って各スタックの移動力を決定するという行動の流動性を取り入れるなど、20年前のゲームとは思えないような先進的なシステムを採用している。
 戦闘は、両プレーヤーがサイコロを1個づつ振り合い、差によって戦闘結果を求める。これに、指揮官の能力、地形、戦力比、部隊の精鋭度(精鋭部隊が占める割合)などが修正として加わる変則だがサイコロ2個振りの戦闘結果なので、サイの目による戦闘結果の幅は非常に大きい。このため、大軍を集めて勝利確実な戦闘が一敗地にまみれたり、考えられないような不利な戦闘でもダイス次第で結果が大逆転する場合もあり得る。
 また、本作の大きな特徴として、少数だが行動力が高く、強力な騎兵・専門兵などの精鋭部隊と、多数だが行動力が低い大衆軍という性質の異なる部隊を如何に上手く組み合わせて使いこなすか、という部隊運用もまたプレーヤーの手腕が問われる。
 ゲーム展開は、最初はほとんど盤上に部隊がいない(ヒストリカルシナリオの場合)が、続々と到着する各国からの増援によって畿内に大部隊が集結してゆき、やがて大部隊同士の激突に発展していく。
 このため両軍が兵力を集結・展開させる序盤、衝突が次第に大規模化していく中盤、最後の決戦が展開する終盤といった演出がはっきりできていること、両軍の勢力状況が固定化しておらず、ゲームの展開次第で状況が大きく変化することなど、キャンペーンゲームとして非常に優れたシチュエーションであると言えよう。
 まず序盤は大海人方が美濃・尾張方面を、大友方が近江・難波方面を本拠地とし、大海人方が東海道方面と東山道方面の二手に分かれ、近江京目指して近江平野へ侵入する。
 ゲームの大きなカギを握るのは、戦域の西端にある倭京(大和)の争奪である。
 大和盆地の南部にある倭京は、両プレーヤーにとって勝利目標であるばかりでなく、自軍支配下にあるかどうかで全ての戦闘にダイス修正が付くため、両軍の激しい争奪戦が繰り広げられるが、倭京奪還を目指す大友方は南海道・山陽道方面から続々と増援を投入できるのに対し、死守を目論む大海人方は、近江京めざして近江平野に侵入する東海道方面の部隊から兵力を割いて、倭京の防備に廻さなければならない。
 この結果、本拠とする美濃・尾張方面と倭京との連絡線を維持し、各方面から近江平野への侵攻を図る大海人方が外線、近江平野を中心に各方面からの大海人方の侵攻を阻止し、一方大海人方の美濃・尾張方面と倭京との連絡線遮断を目論む大友方が内線の立場に立つ。
 また、両陣営が各線戦へ廻す兵力と兵種の配分も、勝敗の行方を大きく左右する。
 このように、各戦線が有機的に連動し、そして個々の戦闘の積み重ねが全体の戦況を左右していく。
 「日本のポエニ戦争」という評がなるほどと思わせる逸品。
 ぜひ一度プレーし、古代のロマン豊かな名作を味わって欲しい。

Q&A、エラッタ、最新版ルール

ゲームデータ

テーマ
大海人皇子と大友皇子が天皇の座を巡って争った、日本古代史上最大の内戦、壬申の乱を畿内中心の戦役規模で描く。
カウンター数
約250枚
マップサイズ
フルマップ1枚
ゲーム期間
672年6月29日~7月24日(8ターン)
ユニットの規模
武将一人/騎兵100騎、専門兵300人、
徴募兵1000人/ユニット
プレーヤー数
2人
難易度(5段階、5が最高)
3

解説


本号の掲載記事「私のお勧め!日本史ゲーム」の記事中、一部欠落した文章がありました。以下の通り、お詫びして欠落した各作品のデータボックス部分の末尾を補足指せていただきます。

信長最大の危機
■ プレー時間:10分~6時間(展開による)
■ 難易度(5段階評価):2
■ 入手:困難。再販の予定あり(時期未定)

戦略級関ヶ原
■ 駒数:約200個
■ プレー時間:2~3時間程度
■ 難易度(5段階評価):2
■ 入手:可

■ プレー時間:4時間以上
■ 難易度(5段階評価):3
■ 入手:困難

織田信長
■ テーマ:(戦略ゲーム)桶狭間直後の時期から本能寺の変までの信長の戦いを戦略級で再現(戦術ゲーム)「桶狭間」「姉川」「長篠」の3シナリオ
■ マップサイズ:
■ 駒数:
■ プレー時間:(戦略ゲーム)(戦術ゲーム)
■ 難易度(5段階評価):3
■ 入手:困難

なお「信長最大の危機」「戦略級関ヶ原」「新撰組」各推薦者の紹介部分の末尾にも一部欠落した部分がありますが、こちらは時期を逸してしまっているため次回紹介時の紹介をご参照ください。