インペリウム
ルール訂正&解説総集編 Ver.4.00



  Imperium
「『帝国』の復活」


・はじめに 〜この記事の主旨

 コンフリクト社やGDW社から販売され、ホビージャパン社から日本語版も販売された名作SFシミュレーションゲーム「インペリウム」。このゲームは人気も高く、所持している方もかなり多いのですが、ルール解釈の問題(トラブル)が原因でプレイできない方も多いという話をよく耳にします。

 一方、ホビージャパン社版販売後、米国ではGDW第2版が販売され、チャートとマップの内容が一部変更されました。特にチャートの変更部分はゲームバランス上重要なモノが含まれています。

 そこで、この記事では主にGDW第2版で改訂されたルールと、現在誤って流布されているルールの訂正情報を記載し、解説させて頂きます。さらに、ルール上不明確な点はこれを明確化すべく詳細に解説させて頂きます。

 ちなみに、この記事の内容は主に商用パソコン通信「Nifty-serve」内の「FGAME1フォーラム:ウォーゲーム会議室(FGAME1/7)」上で提供、討議された、ルールの改訂・解説情報をもとに列記させて頂いております、この場を借りて執筆協力者、関係者の方々には御礼申し上げさせて頂きます。

 現在でも「Nifty-serve」上ではルール改訂情報に関する討議は行われております、御関心がおありの方は是非御参加下さい。

 では、この記事が全てのインペリウム・プレイヤーの方々の役に立つ事を祈りつつ、ルール訂正&解説を始めさせて頂きます。


 平成10年7月吉日 編者こと高濱 剛


・注:Ver.4.00改訂時の追記('00/11/18)

a.版について
 コマンド・マガジン日本語版ホームページなどで「第3版」と呼称されている版は、GDW第2版のことです。
 ホビージャパン社版はGDW第1版をもとに作成されました。
 この記事中では、ホビージャパン社版を「HJ社版」と略称させて頂いております。

b.討議場所について
 最近はインターネット上での議論が盛んです。「Nifty-serve FGAME1フォーラム:ウォーゲーム会議室(FGAME1/7)」にアクセスできない方は、「シミュレーションゲーム共用掲示板」内「インペリウム会議室」(http://homepage2.nifty.com/trajan/bbs/index.htm)をご利用下さい。

c.「ゲームデザイナー本人(Marc Miller氏)からの情報」の出典について
 「ゲームデザイナー本人からの情報」の出典場所は、「Nifty-serve FGAME1/7ウォーゲーム会議室」発言番号#13443(Dashさん記載)、「シミュレーションゲーム共用掲示板」内「インペリウム会議室」(http://homepage2.nifty.com/trajan/bbs/index.htm)発言番号#79,#139(Dashさん記載)です。


・ゲームバランス上、重要な変更点

 この記事で紹介されている改訂・訂正ルールで最もゲームバランスに影響を与えるのは以下の8点です。

一.初期配置の際、帝国側は第3種星系を越えて「Procyon(プロキオン)及びそれより先の星系」にワールドおよび前哨基地を配置できない。

二.「反撃フェイズ」時、反撃部隊が恒星ヘクスに存在する星系の地上ボックスにいる艦艇は恒星ヘクスへの戦闘参加が可能(反撃フェイズプレイヤーのみ)。

三.帝国側は「直訴」を実行するたびに2ポイント功績ポイントが減る。

四.「直訴」によって得た予算の増額は「一戦争」中のみに限定される。

五.「内戦」時、支援した側が敗北した場合、またはどちらにも支援しなかった場合の予算減額は「ゲームを通じて」恒久的。また、正統派に支援し、勝利した場合の予算増額も、同様に恒久的。

六.「平時における植民地化」時、前哨基地は「累積」5平和ターン経過すればワールド化する。「領土の交換」の様な「連続」5平和ターンではない。
 また、「平時における植民地化」時のワールド化には「中立化した敵ワールド」は必要ない。

七.砲台の対空射撃力低下。

八.マップの記載、イベントの数値の変更。

 また、この記事には上記変更点以外にもルール上重要な注意点や問題点の詳細な解説が記載されております。


・「『帝国』の復活」目次

 はじめに 〜この記事の主旨
 1. GDW第2版で明確になったルール
  1.1 「第3種星系」と「タンカー」
   1.1.1 「収入」時の「タンカー」配置
   1.1.2 帝国の初期配置
  1.2 帝国の初期配置
   1.2.1 「第3種星系」を通る初期配置
   1.2.2 「結ばれる」方法
  1.3 「砲台」の対空射撃力の変更
  1.4 「ルールー(Luuru)」星系からの収入
  1.5 「干渉」
   1.5.1 「内戦」の予算変化
    1.5.1.1 正統派支援勝利時
    1.5.1.2 支援側敗北時、または非支援時
   1.5.2 「増援」
   1.5.3 「名ばかりの増援」
   1.5.4 「攻勢艦隊表」
  1.6 「直訴」
   1.6.1 「直訴」に必要な「功績」ポイント数
   1.6.2 予算増額の効力
  1.7 「平時における植民地化」
   1.7.1 前哨基地のワールド化
   1.7.2 ワールド化に必要な条件
  1.8 マップ記載の変更 
   1.8.1 ジャンプ路の新規設定
   1.8.2 「星系」の消失
   1.8.3 「星系」位置変更
   1.8.4 銀河核方向(Galactic Center)方向変更
 2 ルール上の注意点
  2.1 「特別移動フェイズ(Reaction Movement Phase)」
  2.2 同一恒星ヘクスでの敵味方同士の混在
   2.2.1 「宇宙船サブフェイズ」の終了
  2.3 GDW第2版ルール中解説図の齟齬
  2.4 地上戦闘について
  2.5 「ヌスク/デュシャーム(Nusku/Dushaam)」星系での整備
  2.6 「直訴」による軍事上の援助要請
  2.7 「帝国の補充」と「帝国の建造制限」
  2.8 「平和」ターン
   2.8.1 「領土の交換」時の「接続」状態
   2.8.2「平時における植民地化」の「接続」状態
 3 Ver.3.00の「未解決の争点」で解決できたもの(ゲームデザイナー本人からの情報)
  3.1 「砲台」設置後の再配置の可否
  3.2 「反撃フェイズ」時、地上ボックスにいる艦艇の恒星ヘクスへの戦闘参加の可否
  3.3 「空母」による「収入」時の連絡(接続)妨害の可否
  3.4 「整備と生産フェイズ」のシークエンス
  3.5 「内戦」時、介入に必要な最低ミサイル力数
 4 上記以外で現在解決されている争点(ゲームデザイナー本人からの情報)
  4.1 タンカーを用いた移動
   4.1.1 第3種星系にタンカーを移動させた場合
   4.1.2 第3種星系からタンカーを移動させた場合
   4.1.3 移動を停止した宇宙艦
  4.2 反撃艦隊のスタックの位置
  4.3 帝国の「補充」の配置場所
 5 未解決の争点
  5.1 「砲台」の初期配置
  5.2 戦闘解決箇所の判断
  5.3 「短距離ミサイル射撃」による「防御射撃」の可否
  5.4 「撤退/非撤退」の宣言
  5.5 地上戦闘の選択
   5.5.1 地上戦サブフェイズ時の攻者側全滅の可否
   5.5.2 反撃フェイズの地上戦サブフェイズ
  5.6 チャートとユニットの相違点
  5.7 連星ヘクスにおける整備
  5.8 「戦時急造許可令」の対象艦
  5.9 「好況」と「不況」と「直訴」の増収(「10ルーを与える」)の適用時期
  5.10 「不況」の適用方法
  5.11 盤外への出入り
  5.12 「平時における植民地化」と第3種星系
 6 解説 「Multi player games network」版インペリウムについて
 おわりに
 付録
  Ver.3.00からの主要変更点 '00/11/18
  「『帝国』の復活」対戦用チェックリスト '00/11/18版


1. GDW第2版で明確になったルール

1.1 「第3種星系」と「タンカー」

1.1.1 「収入」時の「タンカー」配置
 ホビージャパン社版のルールでは「連絡の為の経路が、第3種星系を通る場合は、タンカーを『保有』していなければならない」とされておりますが、これは誤りです。
 GDW第2版の「収入」時の「タンカー」配置については、(ハイパースペースジャンプ時同様に、)「連絡の為の経路が第3種星系を通る場合は、その第3種星系ヘクスにタンカーが『配置』されてなければならない」と規定されております(『』は編集者)。

・引用 GDW第2版原文該当箇所
「In order for a path to be traced through a tertiary system hex, a friendly tanker must be present at the time the path is traced.(直訳:(連絡の為の)経路が第3種星系ヘクスを通る場合、そこに味方のタンカーが居合わせてなければならない)」

・参考
 現在アメリカの「Multi player games network(http://www.mpgn.com 略称:MPG-net)」ウェブページ上で配布されている「Imperium」のネット対戦型ゲームのルール説明では、「収入」の項目で「If a hyperspace jump route passes through Sirius, you must have a tanker at Sirius in order for the world or outpost to be connected.(もし、ジャンプ経路がシリウスを通過するならば、あなたは、ワールドまたは前哨基地が接続されるように、シリウスにタンカーを配置していなければならない)」、と明確に記載されています。

・注
 ホビージャパン社(以下「HJ社」と略称させて頂きます。)が「最新正誤表と補遺」と題して過去に「Tactics」22号誌上で発表したルールでは「連絡のための経路が、第3種星系を通る場合は、タンカーを保有していなければならない(つまり、そのヘクスにタンカーがいる必要はないわけである。この連絡の定義は、帝国軍の初期配置の場合にも適用される)」と記載されております。
 しかし、これも誤りです。なぜならこの発表の後に発売され、様々なルール改訂が行われたはずのGDW第2版では、この様なルール変更は一切行われていないからです。
 (さらに注:HJ社が自社版の作成の基にしたのはGDW第1版です)。

1.2 帝国の初期配置

1.2.1 「第3種星系」を通る初期配置
 初期配置時、帝国軍は、第3種星系を通って初期配置を行うことはできません。

・理由
 初期配置時、(「1.1.1 『収入』時の『タンカー』配置」の項目と同様、)第3種星系を通って連絡の為の経路をつなぐ場合は、その第3種星系ヘクスにタンカーが配置されている必要があります。
 しかし、帝国軍は初期配置時、タンカーを第3種星系に置くことはできません。
 よって、第3種星系を通って帝国軍は初期配置を行えないことになります。

・注
 HJ社が「最新正誤表と補遺」と題して過去に「Tactics」22号誌上で発表したルールでは「連絡のための経路が、第3種星系を通る場合は、タンカーを『保有』していればよい。つまり、第3種星系にタンカーがいる必要はないわけである。この連絡の定義は、帝国軍の初期配置の場合にも適用される。」「第3種星系である『Sirius(シリウス)』の向こう側の『Mirabilis(ミラビリス)』にもワールドが置ける」とされていますが、これは明らかに誤りです(『』は編集者)。

・余談
 HJ社は自社で刊行していた『Tactics』という名のゲーム専門誌上でのリプレイ記事において上記の様にルールを間違い、帝国は第3種星系を越えて「Procyon(プロキオン)」「Mirabilis(ミラビリス)」に初期配置できる、という誤解釈を広めてしまいました。
 この(致命的な)間違いに対し、読書から誤りの指摘は多々あったハズです。しかし、逆にHJ社は後日出版された『Tactics』誌上でその誤解釈をHJ版公式ルールとして掲載してしまいました。
 もちろん、この様なルールは当該『Tactics』誌掲載後に発売され、様々なルール改訂が行われたはずのGDW第2版には全く掲載されておりません(注:HJ社が自社版の作成の基にしたのはGDW第1版です)。
 当時、日本で数多く売られていたのはHJ社の(自称)完全日本語版でした。よって、多くの読者は英語版(GDW第1版)でルール原文を確認できず、この誤った解釈を信じてしまいました。
 悲しむべきことに、これは今日にまで至っており、結果的にこのゲームが「ゲームバランス」の観点において多くのゲーマーから酷評を浴びる主原因となってしまったのではないか、と考えられます。

1.2.2 「結ばれる」方法

 初期配置時、前哨基地とワールドは、「一つのジャンプ路でお互いに結ばれるように置く」必要はなく、「収入」の項目と同様に、「連絡のつく」状態であればかまいません。
 ワールドと前哨基地の間に前哨基地が置かれていない星系があってもかまわないのです。

・理由
 HJ社版ルールでは「特に置く場所を指定されていない、前哨基地とワールドは、『一つのジャンプ路を介して、全てがお互いに結ばれる』ように置くこと。」と記載されていますが、GDW第2版では「Care must be taken that all Imperial outpost and world are connected.(全ての帝国の前哨基地とワールドは『結ばれる』ように注意せよ。)」と記載されています(『』は編集者)。
 この「connect(結ばれる)」は、ホビージャパン社版の「収入」の項目で使われている「連絡のつく」という言葉と同じ意味です。
 このことから、初期配置時、前哨基地とワールドは、HJ社版ルールの様に「一つのジャンプ路を介して、全てがお互いに結ばれる」必要はなく、「収入」の項目と同様に「連絡のつく」状態であればよい、ということがわかります。
 つまり、ワールドと前哨基地の間に前哨基地が置かれていない星系があってもよい、という事なのです。

・引用
GDW第2版 地球収入表
「Per connected World 8RU」
ホビージャパン社版 地球収入表
「連絡のつく1ワールド   8ルー」

・注
 但し、地球側の前哨基地やワールドがある地上ボックスに、帝国はワールドや前哨基地を配置することはできません。

・余談 地球側プレイヤー 初期配置時の注意
 注意しないと帝国は「プロキオン」に初期配置できてしまいます。「connect」状態を妨害できるのは「恒星ヘクス」にいる(輸送艦、タンカーを除く)艦艇のみだからです。 よって、地球側プレイヤーは、帝国側プレイヤーに自分の「前哨基地」や「ワールド」を通過して「連絡のつく」状態にされない様、注意して初期配置を行って下さい。
 例:地球側プレイヤーが「ソル(Sol)」と「バーナード・スター(Barnard's Star)」と「ジャンクション(Junction)」の各「恒星ヘクス」に艦艇を配置せず、「地上ボックス」に艦艇を配置した場合、帝国側プレイヤーは「Procyon(プロキオン)」に初期配置可能。

1.3 「砲台」の対空射撃力の変更
 GDW第2版では、「砲台」の対空射撃力は、「前哨基地」と同じになりました。

1.4 「ルールー(Luuru)」星系からの収入
 GDW第2版では、「ルールー(Luuru)」星系はジャンプ路がなくても収入源として機能する事が定義されています。

・引用
「Luuru is not connected by a jump route; an outpost placed there produces income as if it were a connected outpost.(Luuru星系にはジャンプ経路自体が存在しないが、前哨基地が置かれた場合、接続された前哨基地同様に収入源になる)」

1.5 「干渉」

1.5.1 「内戦」の予算変化
 HJ社版には以下の誤訳が存在しますので、これを指摘、訂正させて頂きます。

1.5.1.1 正統派支援勝利時
 誤:「加えてサイコロを1個ふり、その目のルーを艦隊が帰還したターンに与えられる。」
→正:「加えてサイコロを1個ふり、艦隊の帰還したターンに、その目の数だけ(ゲーム全体を通して)恒久的に予算が増加する。」

・引用 GDW第2版該当箇所
「The result is the increase in the provincial Budget (in RU) effective upon the force's return. This Budget increase is permanent.」

・注
 「内戦」時の正統派支援勝利時の予算増加は「直訴」とは異なります(1.6.2「予算増額の効力」参照)。

1.5.1.2 支援側敗北時、または非支援時
 誤:「そのターンに与えられる予算は3ルー減らされる。」
→正:「予算は(ゲーム全体を通して)恒久的に3ルー減らされる。」

・理由
 GDW第2版では、「支持した非正統派の勝利」の場合は、「A CASH GRANT...」と「一時的な収入」である事が規定されていますが、「支持した正統派の勝利」の場合は、「THIS BUDGET INCREASE IS PERMANENT.」と「予算(BUDGET)」の増加である、と明確に規定されています。
 この事から、同じ「予算」について減少することを指定している、「支援側敗北」や「非支援(中立)」の場合も恒久的に減少する、と考えられます。

・引用 GDW第2版該当箇所
「If a player's faction loses (the force commitments themselves are clandesitine, and thus no direct retribution may be made against the governor), or if no faction was supported, the provincial budget is reduced by 3RU. If the reduction places the budget at zero or less, the budget instead goes to a level of 1Ru.」

1.5.2 「増援」
 GDW第2版では、「増援」の効果は「1d6×5Ru」に変更されました。

1.5.3 「名ばかりの増援」
 GDW第2版では、「名ばかりの増援」は「1d6×2Ru」に変更されました。

1.5.4 「攻勢艦隊表」
 GDW第2版では、チャートの「攻勢艦隊表」の「与えられる艦隊」の「サイの目3」の項目が「2B1、2CA」に変更されました。

1.6 「直訴」

1.6.1 「直訴」に必要な「功績」ポイント数
 「直訴」に必要な功績ポイントはGDW第2版で2ポイントに変更されました。

・引用 GDW第2版該当箇所
「TO PLACE AN APPEAL, THE IMPERIAL PLAYER MUST REDUCE HIS GLORY POINT TOTAL BY TWO AND SPECIFY WHETHER THE APPEAL FOR INCREASED PRODUCTION TABLE OR THE APPEAL FOR INCREASED FINANCES TABLE IS BEING CONSULTED.」

1.6.2 予算増額の効力
 HJ社版ルールブックでは特に言及されておりませんが、「直訴」によって得た予算の増額はその戦争中のみに限定されます。

・理由
 GDW第2版では、「BUDGET INCREASES MADE ARE PERMANENT THROUGH THE END OF A WAR.」と表記されているからです。
 「A WAR」は一「戦争(戦時)」の意であり、「ゲーム全体(Campaign)」の意ではありません。この事は「内戦」の項目と対比すればよくわかります。

・引用 GDW第2版「内戦」の項目から
「The result is the increase in the provincial Budget (in RU) effective upon the force's return. This Budget increase is permanent.」

・注
 「戦時建造許可令」は「ゲーム全体」を通して効力を有します。

1.7 「平時における植民地化」

1.7.1 前哨基地のワールド化
 HJ社版ルールと異なり、GDW第2版では「平時における植民地化」時、「中立化した(敵方の)ワールド」を必要としません。
 「第一種星系の地上ボックス」であれば、「前哨基地」は「ワールド」に変化できるのです。

・引用
GDW第2版「平時における植民地化(Interwar Colonization)」の項目
「At this point, a friendly outpost in a primary planetary surface box may be converted to a friendly world marker if it has spent at least 5 turns of peace in that box.」

・注:
 HJ社刊行『Tactics』誌22号P108では、「選択ルールの惑星改造以外の手段では、ワールドが置かれることはありません。」とされておりますが、これは明らかに間違いです。

1.7.2 ワールド化に必要な条件
 前哨基地は「設置後、経過した平和ターン数が『累積』5ターン貯まれば、ワールドに変更」できます。「平和ターン」と「平和ターン」の間に「戦争ターン」が入っていてもワールド化できるのです。
 「平時における植民地化」時は「領土の交換」と異なり、「平和」ターンが「連続」4ターン以下しかない場合でも、前哨基地がワールド化する場合があるのです。

・理由
 GDW第2版では、「この時点で、それ(前哨基地)がそのボックスで少なくとも5平和ターンを過ごしたなら、第1種星系の地上ボックスにある味方の前哨基地を味方のワールドマーカーに変えてよい。」と記載されており、この事から「ワールド化に必要な平和ターン数は『累積』で5ターン以上あればよい。平和ターンと平和ターンの間に戦争ターンが入っていてもワールド化できる。」と判断できます。

・引用
GDW第2版「平時における植民地化(Interwar Colonization)」の項目
「At this point, a friendly outpost in a primary planetary surface box may be converted to a friendly world marker if it has spent at least 5 turns of peace in that box.」
GDW第2版「領土の交換(Teriitorial Exchange)」の項目
「If the length of the peace exceeds five turns , any neutralized worlds which have an enemy outpost present now become unneutralized.
If the peace lasts five turns or less, it is possible for a neutralized world with an enemy outpost present, and for the next war to begin with this situation」

・注
 HJ社刊行『Tactics』誌では、「(引用者注:連続した)平和の期間が少なくとも6ターンはないとワールドマーカーに取り替えられない。」と記載されていますが、明らかにこれは誤りです。
 また、「平時における植民地化」と違い、「領土の交換」では、平和のターンが『連続』5ターンを経過しなければ前哨基地はワールドになりません。

1.8 マップ記載の変更

1.8.1 ジャンプ路の新規設定
 GDW第二版では、「プロキオン(Procyon)」−「カルガリー(Calgary)」間を結ぶジャンプ路が新たに設定されました。

1.8.2 「星系」の消失
 HJ社版ではヘクス0107にある「アルタイル」星系は、GDW第2版では無くなりました(そこから伸びている2本のジャンプ路も無くなりました)。

1.8.3 「星系」位置変更
 HJ社版では、ヘクス0522にある「ムカルディム」星系は、GDW第2版ではHJ社版のヘクス0521にあたる場所へ移動しました。
 HJ社版では、ヘクス2602にある「ルールー」星系は、GDW第2版ではHJ社版のヘクス2503にあたる場所へ移動しました。

1.8.4 銀河核方向(Galactic Center)方向変更
 HJ社版では「銀河核方向」の矢印がヘクス2720から2629の向きに描かれていましたが、GDW第2版では帝国本土方向に矢印の向きが変わりました。


2 ルール上の注意点
 ゲーム上不明確な点を明確に定義しました。トラブル解決のための御参考にどうぞ。

2.1 「特別移動フェイズ(Reaction Movement Phase)」
・ゲームデザイナー本人からの情報
 特別移動フェイズ時、一スタックの反撃艦隊は3ジャンプの範囲なら任意に分散して移動できます。全ての艦を同じ経路で送る必要はありません。
 例:特別移動フェイズ時、ソルにいる反撃艦隊の一部をバーナードスターに、残りをジャンクションを通過してプロキオンに送る。

2.2 同一恒星ヘクスでの敵味方同士の混在
 ルールには明確に記載されていませんが、同一恒星ヘクス上に、攻撃力がない敵味方の艦同士が混在することは多々あります。
(例:輸送艦や艦載機を登載してない空母同士が同一恒星ヘクスで混在する)。
 これに関連して「宇宙船サブフェイズ」で問題が生じます。

2.2.1 「宇宙船サブフェイズ」の終了
 「宇宙戦サブフェイズ」時、攻撃側防御側双方とも、同時適用原則のルールの結果、攻撃力が無い艦(「輸送艦」や「タンカー」や「空母」や「集中ミサイル射撃の結果ミサイル力とビーム力が両方とも0になってしまった艦」など)のみ戦場に残存している状態になる事があります。
 この様な場合、「宇宙戦サブフェイズ」は継続できず終了します。攻撃側防御側双方のユニットが同じヘクスに混在する事になるのです。

・理由
 「宇宙戦サブフェイズ」の「戦闘の終了」の項目では「宇宙戦の終了は片方の側を全滅させた時、または片方が戦場から離脱した時」とのみ規定されています。
 しかし、これはあくまでも「宇宙戦サブフェイズが行える」という前提条件上での処理方法であり、この様な「宇宙戦サブフェイズを行える前提条件」自体を欠いている場合は適用できません。
 もし、全滅や離脱の条件を満たすまで必ず「宇宙戦サブフェイズ」を続けなければならないとすれば、永遠に「宇宙戦サブフェイズ」が終了できない、というゲーム進行上致命的な不整合が生じてしまうからです。
 よって、この様な場合は、「宇宙戦サブフェイズ」のルールではなく、「移動」のルールを適用し、敵味方の混在を認めた方がよいでしょう。

・参考
 「Multi player games network」版インペリウムでは、「Stalemate」と題され「Stalemate results if the ships in combat cannot destroy each other. For example, combat between two transports ends in stalemate because neither ship is equipped with weapons. However, if there is an attack type that one ship can use to destroy the enemy, combat continues until the ship uses the appropriate attack type successfully. For example, if a ship can only destroy the enemy by making a suicide attack, then combat continues until the ship destroys the enemy with a suicide attack.」と明確に宇宙船サブフェイズが終了することを規定しています。

・余談
 この現象は「ディープスペースでの戦闘」や「地上軍を搭載した輸送艦同士の接触」で発生する可能性が高いです。
 ちなみに、「集中ミサイル射撃」の結果ミサイル力が0になった艦は「その戦闘フェイズのみ」ミサイル力が0になるだけですので、次の「戦闘フェイズ」ですぐに攻撃出来ます。

2.3 GDW第2版ルール中解説図の齟齬
 GDW第2版やGDW第1版のルールでは、HJ社版同様、「集中ミサイル射撃」に「防御射撃」は行えないのに、解説図中では行っている例が紹介されています。
(例:図中では、集中射撃するミサイル艇にB2が防御射撃を行っている。CS-CR(集中)でもCSが防御射撃を行っている。)
 「集中ミサイル射撃」に「防御射撃」ができる、とするとミサイルボート(MB)の意義が完全に失われるので、この図は無視した方がよいと思われます。
 もし、この図のままゲームを行いますと、過剰に大鑑巨砲主義に陥り、連邦のCR、BBが異常に強くなってしまい、ゲームが単調になってしまう弊害があります(ゲームバランス上、不利な連邦が強くなることはできるのですが……)。

2.4 地上戦闘について
 地上戦闘時、一般兵による防御射撃は攻者も可能です。
 (注:「Tactics」誌では攻者は不可、とされていますが、これは誤りです。その様なルールはGDW第2版に存在しません。)

2.5 「ヌスク/デュシャーム(Nusku/Dushaam)」星系での整備
 「ヌスク/デュシャーム」星系(星系:恒星ヘクスと地上ボックスのこと)を支配し、第一種星系の地上ボックスにワールドマーカーを置き、もう一方には置いていない場合、整備時、星系に配置されているユニットは、「文明地における整備(ルーを払う)」「辺境地における整備(ルーを払わずにさいころを振る)」のどちらを行うか、ユニット毎に任意に選択できます。

・GDW第2版該当箇所引用
 「A player with ships in the Nusku/Dushaam system who controls both the primary and secondary planetary surface boxes may select the form of maintenance to be performed on his ships.」

2.6 「直訴」による軍事上の援助要請
 HJ社版の「直訴表」中の「どれでも3種類授与」は、「どれでも好きな『宇宙艦』ユニットを3つ貰える」と言う意味であり、3種類の「建造許可」を貰えるわけではありません。

・引用 GDW第2版
 「11 BB production permitted」
 「12 Any three ships granted」

2.7 「帝国の補充」と「帝国の建造制限」
 「帝国の補充」に「帝国の建造制限」は影響しません。「帝国の建造制限」は「生産」にのみ影響します。
・理由
 GDW第2版では「帝国の建造制限」は「production(生産)」に影響する、とのみ記載されているからです。

2.8 「平和」ターン

2.8.1 「領土の交換」時の「接続」状態
 「領土の交換」時は、敵ワールドや敵前哨基地のみが「維持可能」状態の判定基準となります。

・理由
 GDW第2版では、「領土の交換」の項目で「…remove any UNTENABLE outposts.」と記されております。つまり、「維持不能(untenable)」と「連絡がつかない(unconnected)」は全く違う概念である、と判断できます。
 さらに、GDW版第2版では、「Note that this definition differs from the definition of unconnected.(この定義は『連絡がつかない』の定義と異なることに注意してください)」と定義され、「領土の交換」時の「維持可能」状態は、「収入」の項目で説明されている「連絡のつく」とは全く異なるものである事がわかります。

2.8.2「平時における植民地化」の「接続」状態
 「平時における植民地化」時のジャンプ経路の接続状態チェックと「領土の交換」時のジャンプ経路の接続状態チェックは同じものと考えられます。

・注
 但し、このことはGDW第2版ルールに記載されていません。また、GDW第2版の「平時おける植民地化」の項目では、「Each placed outpost must be connected to a friendly world.(おかれた前哨基地は味方のワールドに「連絡のつく」状態でなければならない)」と規定されています。

・理由
 これは、「領土の交換」時の「Note that this definition differs from the definition of unconnected.(この定義は「連絡がつかない」の定義と異なることに注意してください)」と言う説明が、「戦争と平和」の項目全体に対応している、と判断することから導きだせる結論です。この様に解しないと、接続状態の判定の際に支障が生じてしまうからです。
 「平時における植民地化」時は、ほとんど全ての艦が「ソル(Sol)」か「ガッシダ(Gashidda)」に戻り、残存しているのはモニター艦のみである以上、「収入」時と同じ方法で(艦の有無によりジャンプ路の接続状態を)処理すると様々な不具合が生じてしまいます。実質的に、モニター艦の退役チェックのみで接続状態を決する事になってしまうのです。
 この問題は、「連絡可能(connected)」か否かは「戦闘能力を持つ艦(+空母)」と「第3種星系に配置されているタンカー」を基準に判断する、というルールをゲームデザイナーが失念していたのが原因であると考えられます。
 つまり、「平時における植民地化」時の「連絡がつく」状態は、「収入」の項目で説明されている定義とは明確に異なり、「領土の交換」時同様、ジャンプ経路の接続状態は相手の「ワールド」や「前哨基地」の有無で左右されると考えられるのです。
 (ただし、別の問題点もあります。→「5.12「平時における植民地化」と第3種星系」参照。)


3 Ver.3.00の「未解決の争点」で解決できたもの(ゲームデザイナー本人からの情報)
 この記事の前バージョン(Ver.3.00)で解決できず、「未解決の争点」となっていたもののうち、ゲームデザイナー本人からの情報により、今回解決できたものを紹介させて頂きます。

3.1 「砲台」設置後の再配置の可否
 「砲台」は設置後再配置できません。

・Ver.3.00で争点となっていた内容
 「砲台」には設置、未設置の区別が前哨基地の様にあるのか。
 例:初期配置時、「砲台」は星系に配置することになっているが、輸送艦でこの「砲台」を他の星系に輸送し再設置できるかどうか不明。

・ゲームデザイナー本人からの情報
 「砲台」は設置後再配置できない。

3.2 「反撃フェイズ」時、地上ボックスにいる艦艇の恒星ヘクスへの戦闘参加の可否
 「反撃フェイズ」時、反撃フェイズプレイヤーは、恒星ヘクスで発生した戦闘に、地上ボックスの艦艇を参加させることができます。

・注
 但し、これは反撃フェイズプレイヤーのみ可能です(相手側は不可)。
 また、特別移動フェイズで移動した戦力(反撃部隊)がいない恒星ヘクスでは上記戦闘参加は行えません。
 (→ルールブック参照)

・Ver.3.00で争点となっていた内容
 「反撃フェイズ」時、反撃フェイズプレイヤーは、恒星ヘクスで発生した戦闘に、地上ボックスの艦艇を参加させることができるのか。
 GDW第2版では単に、「present(居合わせたら)」という文言があるだけで、どこの場所で艦艇が居合わせた場合なのか指定がなく、問題となる。

・GDW第2版該当箇所引用
 「If those counters enter a situation where other friendly forces present, they may join the attack.(直訳:もし、反撃のカウンターが他の友軍戦力が存在する場所に居合わせたら、それらの攻撃に参加できる。)」

・ゲームデザイナー本人からの情報
 「反撃フェイズ時」恒星ヘクスで発生した戦闘に地上ボックスの艦艇は参加可能。

3.3 「空母」による「収入」時の連絡(接続)妨害の可否
 「空母」による「収入」時の連絡(接続)妨害は可能です。

・Ver.3.00で争点となっていた内容
 「輸送艦」や「タンカー」同様、攻撃力がない「空母」は、「戦闘機」を登載していない場合でも、連絡(接続)を遮断できるのか?
 「移動」のルールでは、「『空母』や『輸送艦』や『タンカー』は攻撃力がないので戦闘を行うことができず、敵艦の『移動』を妨害できない」とされているが、「収入」のルールでは「『輸送艦』と『タンカー』は、敵方の連絡を妨害出来ない」とのみ定義されていることから問題となる(『』は編者)。

・ゲームデザイナー本人からの情報
 「空母」による「収入」時の連絡(接続)妨害は可能。

3.4 「整備と生産フェイズ」のシークエンス
 「整備と生産フェイズ」のシークエンスは「1.収入の計算→2.整備→3.新造部隊の配置→4.帝国の干渉→5.皇帝への直訴→6.生産」の順で行います。

・Ver.3.00で争点となっていた内容
 ルールブックでは「整備と生産フェイズ」の処理の順番が明確に記載されていない。どの様な順で解決するべきなのか?

・ゲームデザイナー本人からの情報
 「整備と生産フェイズ」のシークエンスは「1.収入の計算→2.整備→3.新造部隊の配置→4.帝国の干渉→5.皇帝への直訴→6.生産」の順である。

3.5 「内戦」時、介入に必要な最低ミサイル力数

 「内戦」時、介入に必要な最低ミサイル力数は、正統派支援時は20ミサイル力、非正統派支援時は10ミサイル力です。1ミサイル力ではありません。

・Ver.3.00で争点となっていた内容
 チャート上、「内戦」介入時はダイス修正値を得るのに最低20(10)ミサイル力が必要だが、ルールでは特に「最低20(10)ミサイル力が必要」と記載されてはいない。一体、「内戦」に介入するのに必要なミサイル力は幾つなのか?

・ゲームデザイナー本人からの情報
→「内戦」時、介入に必要な最低ミサイル力数は、正統派支援時は20ミサイル力、非正統派支援時は10ミサイル力である。1ミサイル力ではない。


4 上記以外で現在解決されている争点(ゲームデザイナー本人からの情報)
 ゲームデザイナー本人からの情報により、上記以外で現在解決されている争点を紹介させて頂きます。

4.1 タンカーを用いた移動

4.1.1 第3種星系にタンカーを移動させた場合
 「移動フェイズ」(または「反撃移動フェイズ」)中、タンカーが第3種星系で移動を終了した場合、その「移動フェイズ」中に当該第3種星系を通過しようとする他の宇宙艦は、タンカーから燃料補給を受け、当該第3種星系を通過できる。
 (理由:タンカーは自身が移動を開始する時、または移動停止後、他の宇宙艦に燃料を補給できるから。)

4.1.2 第3種星系からタンカーを移動させた場合
 「タンカー」が第3種星系から移動する場合は、当該第3種星系にいる艦にしか燃料補給できない。結果、その移動フェイズ中、他の宇宙艦は当該第3種星系を通過できなくなる。
 但し、移動フェイズ開始時に「タンカー」と同じ第3種星系にいた宇宙艦は、燃料補給の結果、移動できる状態になる。
 (理由:タンカーは自身が移動を開始する時、または移動停止後、他の宇宙艦に燃料を補給できるから。)

4.1.3 移動を停止した宇宙艦
 「移動フェイズ」中または「反撃フェイズ」中、宇宙艦は移動を一度停止すると、移動できなくなる(一度停止した後に燃料補給された場合でも)。
 移動したいなら、次の機会(*)を待たなければならない。
 (*:次の「移動フェイズ」「反撃フェイズ」や宇宙戦闘発生時の撤退宣言(宇宙戦闘未発生時は不可)など。)
 (理由:移動時、宇宙艦は一度停止すると移動できなくなるから。)

4.2 反撃艦隊のスタックの位置
 特別移動フェイズ時、反撃艦隊のスタックは「恒星ヘクス」または「地上ボックス」のどちらか一方です。

・理由
 特別移動フェイズ時、反撃艦隊のスタックは「ヘクス」または「地上ボックス」のどちらか一方、とあるが、この「ヘクス」の意は「恒星ヘクス」の意である。「恒星ヘクス」「地上ボックス」両者を含む「星系ヘクス」の意ではない。

・注
 「Tactics」誌では両者を含むとされていますが、そうではない、ということです。

4.3 帝国の「補充」の配置場所
 帝国の「補充」の配置は、新造船配置と同じ場所に行う。「増援」と同じ方法ではない。


5 未解決の争点
 GDW第2版においてもルール上不明・不備な点は多々存在します。以下にその例とそれに対する解決案を提案させて頂きます。案のうち、有力な論拠があるものはそれも解説させて頂きました。
 対戦前に解決案のなかからどれを選ぶか、両プレイヤーが相談・合意することをお勧めします。(合意形成には、付録の「チェックリスト」が便利です。)

5.1 「砲台」の初期配置
・争点
 初期配置時、「砲台」は未設置状態のままにしておき、「ゲーム中に配置する」ことができるのか。それとも必ず初期配置時に配置しなければならないのか。ルールに記載がないことから問題となる。

・解決案
 A案.必ず初期配置時に配置
 B案.「ゲーム中に配置」できる(未設置状態で受領可能)

5.2 戦闘解決箇所の判断
・争点
 「宇宙戦サブフェイズ」「対惑星戦サブフェイズ」「地上戦サブフェイズ」時、複数の交戦可能ヘクス・地上ボックスが存在する場合、どのヘクス・地上ボックスの戦闘から解決していくのか、ルール上記載がなく、問題となる。

・解決案
 A案.攻撃側プレイヤーが決定
 B案.サイコロなどを用いて、無作為(ランダム)に決定
 C案.その他(「防御側が決定」「交互に選択」など)

5.3 「短距離ミサイル射撃」による「防御射撃」の可否
・争点
 「短距離ミサイル射撃」による防御射撃は可能なのか。
 GDW第2版のチャートでは、ルールブックと異なり、「特効艦に対しての防御射撃はビーム射撃のみ」と記載されていることから、問題となる。

・引用 GDW第2版のチャートより
「Suicide attacks using beams may be made with a die roll modification of +1 provided that the target is allowed a first fire of all his beam weapons.」

・解決案
A案,「短距離ミサイル射撃」による「防御射撃」を許さない
論拠
(1).GDW第2版チャート自体を第2版改訂ルールと見なして優先すべき。
 ルールブックの他の項目の内容から、ゲーム製作コスト削減の為にルールブックの文面はGDW第2版でも第一版から一切改訂されていない、と想定すべき。
(2).帝国のモニター艦が連邦のモニター艦同様、距離の違いによる弱点を有する事になる。
(3).ミサイルボートが一層使い捨て的な意味合いが強くなり、本来の使用方法らしくなる。
(4).帝国が2ビーム力以上を駆逐艦以上に配している1つの回答になっている。従来のルールなら、ミサイルonlyの方が優れている場合がある。
(5).B案に対する批判
 「Multi player games network」版インペリウムは、GDW第2版のルールブックをそのまま使用しているため、GDW第2版同様のミスがある事が想定される以上、この問題に対し参考材料とするのは不適切。

B案,「短距離ミサイル射撃」による「防御射撃」を許す
論拠
(1).帝国巡洋艦の2ビーム力は、集中ミサイル射撃の後のラウンドで、小型艦の特攻を防ぐという点で存在価値があると思われる。
(2).A案に対する批判
 帝国のモニター艦は下記理由からそれほど強すぎないと思われる。
 a.地球のミサイル艇は帝国モニター艦に対抗する為に存在すると推測される。
 b.地球の大戦艦が近距離で帝国側モニターに特攻した場合、自己は無損害だが、相手側を2以上のダイス目で撃破できる。
(3).「Multi player games network」版インペリウムでは「短距離ミサイル射撃」による防御射撃が許されている。

5.4 「撤退/非撤退」の宣言
・争点
 「宇宙戦サブフェイズ」時、「撤退/非撤退」の宣言はどちらのプレイヤーから先に行うのか、ルール上記載がなく、問題となる。

・解決案
A案.「攻撃側プレイヤーが先に宣言」
論拠
 戦闘の宣言(射撃オプション等)は攻撃側が先なので、それに準ずるべき。

B案.「距離決定セグメントで選択権を得た側。どちらも得ないときは前の距離決定セグメントで選択権を得た側(第2セグメントでどちらも得ない場合は帝国)。」
論拠
 基本的にその戦闘でより有利と思われる側が先に選択という不利を甘受した方がよい。

C案.その他
 例:「同時に宣言」「距離決定セグメントで選択権を得た側。どちらも得ないときは同時に宣言」「防御側プレイヤーが先に宣言」「ユニット数が少ない方が先に宣言」など。

5.5 地上戦闘の選択
 地上戦サブフェイズ時、攻者側はかならず攻撃を行わなければならないのか(「マストアタック」)なのか、それとも、地上戦闘を行うか否かは攻者側が任意に選択できる(「メイアタック」)なのか、ルール上記載がなく、問題となる。

・解決案
A案.地上戦闘を行うか否かは、攻者側が任意に選択できる(メイアタック)
論拠
(1).自己が著しく不利な状態でも攻撃しなければならない、とするのは不自然。
(2).マストアタックとすると、下記項目の様な様々な問題が生ずる。

B案.地上戦闘時、攻者側はかならず攻撃しなければならない(マストアタック)
論拠
 ルールブックの文言はマストアタックを前提として書かれている

5.5.1 地上戦サブフェイズ時の攻者側全滅の可否
 地上戦サブフェイズ時、攻者が地上軍ユニットをもたない場合、どのように戦闘を解決すればよいのか? ルールブックに記載がないことから問題となる。

 解説:「戦闘の終了」では防者のユニットのみ「第2線」に置き、戦闘に参加させないことが可能だが、攻撃側ユニットにはこのルールは適用されない。
 結果、攻者側が地上軍ユニットをもたない場合は「戦闘の終了」ルールに従い攻者側が全滅することになるがそれでよいのか? この場合「地上戦」そのものが発生しないのではないか? という疑問が生ずる。
 (注:「Tactics」誌では「攻者の側に非地上軍ユニットしか存在しない場合、地上戦は起こらない」とされていますが、その様なルールはGDW第2版に存在しません。)

 例:地上戦サブフェイズ時、攻撃側が地上ボックスに砲台と宇宙艦と前哨基地を各々1ユニットずつ配置している。防御側は地上軍ユニットを2ユニット配置している。この場合、「地上戦闘を行うか否かは、攻者側が任意に選択できる」「攻撃側全滅」「攻撃側は砲台と宇宙艦のみ除去」「地上戦は発生しない」「前哨基地またはワールドを有するプレイヤーは常に防者とする」のいずれにすればよいのか不明である。

・解決案
 A案.地上戦闘を行うか否かは、攻者側が任意に選択できるとする(メイアタック)
 B案.攻者側全滅
 C案.設置後の前哨基地、ワールドは「戦闘の終了」の全滅の対象とならない。
 D案.攻者側に地上軍ユニットが無い場合、地上戦は発生しない
 E案.前哨基地またはワールドを有するプレイヤーは常に防者とする

5.5.2 反撃フェイズの地上戦サブフェイズ
 反撃フェイズ時、地上戦サブフェイズを行うのは「全ての交戦可能地上ボックス」か、それとも「反撃艦隊が進入した星系だけ」か。ルール上記載がないことから問題となる。

・解決案
 A案.「全ての交戦可能地上ボックス」で地上戦サブフェイズを行う
 B案.「反撃艦隊が進入した星系だけ」で地上戦サブフェイズを行う

5.6 チャートとユニットの相違点
・争点
 GDW第2版では、ユニットに印刷された戦艦の維持値とチャートに記載された維持値は異なる。どちらが正しいのか? 
 ルールブック中で維持値については、ユニット(の図)をそのまま引用しているだけで、明確に記載されておらず、指標となり得ない。

・例
 GDW第2版のチャートは、「B」「B1」「B2」「BB」の維持値が全て6である。
 GDW第2版のユニットは、「B」「B1」の維持値が6、「B2」と「BB」の維持値が5である。

・解決案
A案.チャートに記載された数値を基準とする
論拠
(1).GDW第2版ルールブックには誤植が多々存在する。これは、第2版においてもルールの文面はGDW第1版のものをほぼそのまま流用していることが原因である。
 よって、ルールブックには誤植が多いので、ルールとチャートで相違する点がある場合、チャートを優先するべきであろうと判断すべきである。
 同様に、ユニットに関してもルールブック同様、(ゲーム制作コスト削減の為、)GDW第2版において作り直すことをしなかったのであろうと考えられる。
 誤植の例:GDW第2版ルールブック「爆撃/対空射撃(Surface/Space Interaction)」では、文章が「MB+DD→OP、B→歩兵(2)」となっているが、例図では「B+DD→OP、MB→歩兵(2)」となっている。
 GDW第2版ルールブック「宇宙艦(STARSHIPS)」項目の例図ではタンカーの生産コストが1RUとなっているが、チャートでは2RU。
(2).「Multi player games network」版インペリウムは、GDW第2版のチャートと同じ数値である。

B案:ユニットに印刷された数値を基準とする
論拠
(1).プレイアビリティ(ゲームプレイのし易さ)の観点から、ユニットの数値を優先する。
(2).建造しにくく、維持が難しい戦艦ユニットの価値をこれ以上減じるべきではない。

5.7 連星ヘクスにおける整備
 整備時、連星ヘクスの地上ボックスにワールドが一つだけおかれている星系を支配しているプレイヤーは、「ヌスク/デュシャーム(Nusku/Dushaam)」星系での整備と同様に、ユニット毎に「文明地における整備」「辺境地における整備」のどちらを行うか選択できるのか。ルール上記載がないことから問題となる。
 例:「アマルク/ラガシュ(Amarku/Lagash)」星系を支配している。アマルクの地上ボックスにワールドを配置し、ラガシュの地上ボックスにはワールドを配置していない。

・解決案
 A案:ヌスク/デュシャーム(Nusku/Dushaam)星系と同じ扱い
 B案:通常の星系ヘクスと同じ(ワールド存在時は必ず「文明地における整備」をする)

5.8 「戦時急造許可令」の対象艦
・争点
 「戦時急造許可令」の対象艦は、「ターン記録チャート上の全ての艦」か、それとも「補充」予定艦のみか。
 ルールの文言どおり「ターン記録チャート上の全ての艦」を対象とした場合、ゲーム序盤に帝国軍が「戦時急造許可令」を発生させると、ゲームバランスが著しく崩れ(ゲームにならない)、問題となる。
 しかも、「戦時急造許可令」は確率論的に「直訴表」中でもっとも発生しやすい「建造許可令」である。 

・解決案
A案.「補充」予定艦のみ
論拠
(1).ゲームバランスを重視すべき。
(2).ゲームデザイナーは上記問題の発生を想定していないと考えられる。
(3).B案に対する批判
  MPG-net版は上記問題の発生を想定していないと考えられる。

B案.ターントラック上の全ての艦
論拠
(1).ルール文言を重視すべき。
(2).MPG-net版は両方。

5.9 「好況」と「不況」と「直訴」の増収(「10ルーを与える」)の適用時期
・争点
 適用時期が不明。現在のターンに適用か、次のターンから適用か。ルールが不明確であることから、問題となる。
・解決案
 A.案:現在のターン
 B.案:次のターン

5.10 「不況」の適用方法
・争点
 不況の適用方法について、ルール文言が不明確であることから、適用方法がわからず、問題となる。

・解説
 GDW第2版では、GDW第1版(ホビージャパン社版のもとになった版)と比較して、「不況」の説明の文言が少しだけ変化している。GDW第2版では、「不況」をどのように適用すればよいのか。
 「-10Ruが3ターン続く」のか「-10Ruが1ターンのみ、不足時はペナルティあり」なのか、それともそれ以外なのか。

・引用
GDW第2版
「Depression: The Imperium is suffering from a period Decreased economic activity. The Provincial Budget is reduced by 10 RU. If this reduces the total income, including outpost and world income, to 0 RU or less, then the budget is 1 RU for the next three game turns.」
GDW第1版
「Depression: The Imperium is suffering from a period of decreased economic activity. This situation is evidenced by a reduction of the provincial income (by 10 RU; if this reduces the total income including outpost and world income to zero RU or less, then the budget is 1 RU) for next three game-turns.」

・解決案
A案.-10Ruが3ターン続く、とする
 「3ターンにわたり予算が-10RUされる。もし、この減少により、前哨基地&ワールドからの収入を含めた全収入合計が0以下になってしまったターンは、予算は1RUにされる。」と判断する。
論拠
(1).GDW第2版の「不況」の説明は、一見すると「予算が10RU減少する。もし、この減少により、前哨基地&ワールドからの収入を含めた全収入合計が0以下になってしまった場合、3ターンにわたり予算が1RUになる。」と訳してしまいそうになる。
 しかし、これはGDW第2版ルールブック特有の誤植である、と考えるべきである。
 GDW第1版とGDW第2版の唯一の相違点として、初版では大きな括弧でくくられている部分があるのに、GDW第2版ではそのような括弧は存在しないことがあげられる。ここで重要なのは、GDW第1版とGDW第2版のルール解説文章はほとんど違わない、という事である。
 もし、この括弧がGDW第2版でも存在するとすれば、GDW第2版の「If this reduces……」以降の条件説明はGDW第1版の説明同様に「もし、この減少により、前哨基地&ワールドからの収入を含めた全収入合計が0以下になってしまった場合は、予算は1RUとする。」という意味になる。
 つまり、このルールは第1版から変わっていないのだが、GDW第2版では言い回しを変えようとして誤植を生じてしまった、と考えられるのである。
(2).B案に対する批判
 「Multi player games network」版インペリウムは、マップやユニットの性能から、(「不況」に関する内容を誤って記載した)GDW版第2版をもとに作成されていると考えられる。
 よって、「不況」に関するルールを判断するのに「Multi player games network」版インペリウムを用いるのは不適切。

B案.-10Ruが1ターンのみ。不足時はペナルティあり、とする
 「予算が10RU減少する。もし、この減少により、前哨基地&ワールドからの収入を含めた全収入合計が0以下になってしまった場合、3ターンにわたり予算が1RUになる。」とGDW第2版で変更された、と判断する。
論拠
(1).文言通りGDW第2版で「不況」のルールが変更された、と解するのが適当。
(2).「Multi player games network」版インペリウムではGDW第2版と同様に規定されている。

・注
 ホビージャパン社版では「もし、10ルー減ったために赤字になったら、最低1ルーはあるものとする。」とされておりますが、この「赤字」とは「前哨基地&ワールドからの収入を含めた全収入合計が0以下になってしまった場合」という意味です(上記GDW版引用箇所参照)。

5.11 盤外への出入り
 イベント「辺境地の危機」「名ばかりの増援」「増援」「内戦」に応じて派遣/登場する艦隊は、盤外と盤内を結ぶジャンプ路を「ハイパースペースジャンプ」のみで派遣/登場するのか。「亜光速移動」での派遣/登場をしてはならないのか。ルール上に記載が無く、問題となる。

・解決案
 A案.ハイパースペースジャンプのみ
 B案.亜光速移動も可能

5.12 「平時における植民地化」と第3種星系
・争点
 「平時における植民地化」時、第3種星系を越えて前哨基地を配置できるのか否か。
GDW第2版の「平時おける植民地化」の項目で「Each placed outpost must be connected to a friendly world.(おかれた前哨基地は味方のワールドに「連絡のつく」状態でなければならない)」とルールで規定されていることから、問題となる。

・解決案
A案.第3種星系を越えて前哨基地を配置できない、とする
論拠
(1).初期配置のルールとの整合性
 初期配置のルールでは、第3種星系にタンカーが配置されていないことから、第3種星系を通過して前哨基地およびワールドは配置できない、と考えられる。よって、当然、「平時における植民地化」でも第3種星系にタンカーが配置されていないことから、第3種星系を越えて前哨基地は配置できない、と考える。
(2).ゲームデザイナーの規定ミス
 ゲームデザイナーは第3種星系を越えて配置できないことを表すため、「平時の植民地化」に前哨基地を配置できる星系は、「連絡可能(connected)」な星系だけであると規定した、と解する。
 つまり、「平時の植民地化」で前哨基地を配置できる星系は、「維持不能(UNTENABLE)」でない、「連絡可能(connected)」な星系だけである、と解するのである。
 ただし、「平時における植民地化」時は、モニター艦の有無を「連絡可能(connected)」判定の基準として用いるべきではありません(→参照:2.8.2「平時における植民地化」の「接続」状態)。

B案:第3種星系を越えて前哨基地を配置できる、と解する
論拠
(1).「領土の交換」ルールとの整合性
 「平時の植民地化」と「領土の交換」の接続チェックは同じ方法である事が解される以上、第3種星系にタンカーは配置されている必要はない、と解する。
 つまり、「平時の植民地化」で前哨基地を配置できる星系は、「維持不能(UNTENABLE)」でない星系だけであり、第3種星系にタンカーが配置されているか否かは関係がない、と解するのである。
(2).ゲームデザイナーの設定ミス
 「2.8.2」の問題は、「連絡可能(connected)」か否かは「戦闘能力を持つ艦(+空母)」と「第3種星系に配置されているタンカー」を基準に判断する、というルールをゲームデザイナーが失念していたのが原因である。
 よって、「平時の植民地化」ルール「連絡可能(connected)」という文言は無視し、「領土の交換」ルールの「維持不能(UNTENABLE)」という基準のみを用いるべきである。


6 解説 「Multi player games network」版インペリウムについて
 現在アメリカの「Multi player games network(略称:MPG-net)」(http://www.mpgn.com)ウェブページでは「Imperium」の(ネット)通信対戦型ゲームが配布されております。
 この通信対戦型ゲームのルールでは、上記文中で示した様にボード版インペリウムでは不明確なルールもきちんと定義されております(例:「タンカーによる接続状態の有無」等)。
 よって、上記文中ではアメリカ人のルール解釈の常態を示しているものとして参考に引用させて頂きました。これは、「GDW社の公式見解が発表されていない以上、一番有力と思われる情報を元にルール解釈を行うしかない」という現状から導き出された結論です。
 但し、「Multi player games network」版(以下、「MPGネット版」と略させて頂きます)のルールを参考にする際は「GDW第2版で記載されているが、文言が不明瞭なためわかりにくい部分を明確化する時にのみ参考にする」という基準を設けさせて頂きました。
 つまり、「MPGネット版ルールのみ記載されているが、GDW第2版では一切記載されていないルールは参考にしていない」という事です。
 これは、
 ・MPGネット版のルールは、GDW第2版のルールとはあまりにも違う箇所が多すぎる。
 ・MPGネット版のルールは、GDW社の公式見解かどうか判らない(ネット版のImperiumには、どこにもGDW社やMarc Miller氏の名前が記されていない)。
 等の事情から判断させて頂いた結果です。
 また、
「あくまでもMPGネット版のルールはコンピュータゲームのルールとして存在するのであって、GDW第2版として存在するわけではない。よって、あくまでもMPGネット版のルールは、GDW第2版のルールに反しない、逸脱しない範囲内でのみ(アメリカ人のプレイの常態を示しているものとして)参考・引用するべきである」
「MPGネット版ルールは『コンピュータゲームとしての体裁の都合上』必要な変更が行われているのだろうという事を想定しなければならない(例:MPGネット版での「『配置フェイズ』の新規設定」「『戦争と平和』の不採用」等)」
 という見解(スタンス)でMPGネット版のルールを上記文中で用いさせて頂きました。
 以下、MPGネット版とGDW第2版の相違点を列挙させて頂きます。

(1).「特別移動フェイズ」時の移動は、「一つのスタックが3ジャンプ以内の任意の星系に分散移動できる」と明文化されている。
・引用
「Move starships from the surface or orbit of one planet to multiple planets within three hyperspace jumps.」)

(2).GDW第2版と異なり、「反撃フェイズ」時に関する「もし、味方の戦力がいるヘクスに入った場合、その戦力と合流できる。」という文言は一切存在しない。

(3).「砲台」は一度設置されたら、再配置出来ない事が明文化されている。
・引用
 「Note You cannot move a PDM after you have placed or constructed it.」

(4).移動開始前に「タンカー」が「シリウス」にないと「シリウス」の艦隊はジャンプできない、と明記されている。
・引用
「Ships cannot pass through systems with enemy ships in orbit, or pass through the Sirius system without a friendly tanker at Sirius.」
「Sirius is another bottleneck. The Terrans cannot pass through the Sirius system until they build a tanker. Your forces begin the game with a tanker, so you can attack through this system on the first turn.」

(5).「シリウス(Sirius)」に「タンカー」が配置されていないと「シリウス」を通過して「接続(Connect)」できないと明記されている。
・引用
「You must have a tanker at Sirius before starships can hyperspace jump from there.」
「If a hyperspace jump route passes through Sirius, you must have a tanker at Sirius in order for the world or outpost to be connected.」

(6).「短距離ミサイル防御射撃」が可能な事が明文化されている。
・引用
「However, the target of the suicide attack fires first using beams or missiles (at half factor). If multiple ships make suicide attacks against a single ship, the targeted ship fires a shot at each suicide ship. 」

(7).「整備と生産フェイズ」のシークエンスは「1.配置→2.収入→3.維持→4.生産→5.直訴→6.干渉」になっている事が明文化されている。
・引用
「Play proceeds in turns, with each turn divided into the following phases:
・A new game begins in the Terran Place phase. The Terran player places his or her allotted forces on the star map, considering strategy and whether ships will receive civilized maintenance or frontier maintenance.
・During the Imperium Place phase, the Imperium player places his or her allotted forces on the star map, considering strategy and whether ships will receive civilized maintenance or frontier maintenance.
・During the Terran Maintenance phase, the Terran player receives income from worlds and outposts and maintains starships.
The Terran Maintenance phase is followed by the Terran Build phase, in which the Terran player builds new starships, troops, outposts, and planetary defense mechanisms (PDMs).
The Terran Build phase is followed by the Terran First Movement phase, in which the Terran player moves starships, carries cargo, and can engage in combat.
・During the Imperium Reaction phase, the Imperium player can move starships and carry cargo on a limited basis in reaction to where the Terran player moved starships, transported cargo, or initiated combat.
・During the Terran Second Movement phase, the Terran player has a second opportunity to move starships, carry cargo, and engage in combat.
・At the end of the Second Movement phase, the Terran player can construct any kits that he or she moved to a planet.
・During the Imperium Maintenance phase, the Imperium player receives income from worlds and outposts and maintains starships.
The Imperium Maintenance phase is followed by the Imperium Build phase, in which the Imperium player builds new starships, troops, outposts, and PDMs.
The Imperium Build phase is followed by the Imperium Appeal phase, in which the Imperium player has the opportunity to appeal to the emperor for increased production or increased finances.
The Imperium Appeal phase may be followed by an Imperial intervention event, in which the Imperium player benefits from or suffers the effects of events in other provinces of the Imperium.
This is followed by the Imperium First Movement phase, in which the Imperium player moves starships, carries cargo, and can engage in combat.
・During the Terran Reaction phase, the Terran player can move starships and carry cargo on a limited basis in reaction to where the Imperium player moved starships, transported cargo, or initiated combat.
・During the Imperium Second Movement phase, the Imperium player has a second opportunity to move starships, carry cargo, and engage in combat.
At the end of the Second Movement phase, the Imperium player can construct any kits that he or she moved to a planet.
During the Replacements phase, the Imperium player can order replacements for any ships destroyed in combat during the game turn.
A new game turn then begins with the Terran placing on the star map any units built during the previous Build phase.」

(8).「内戦」時、介入の為、支援に出した艦は「Dingir」「Gashidda」「Ishkur」「Kinunir」を通過して帰還する事が明文化されている。
・引用
「The units return through Dingir, Gashidda, Ishkur, or Kinunir.」

(9).「戦時急造許可令」の効果は「生産予定艦(all ordered ships)」「補充(replacementsships)艦」に適用される、と明文化されている。
・引用
「Accelerate the production of ships by three game turns so that all ordered ships and three game turns of Imperial replacements appear during the next Place phase.」

(10).「宇宙戦闘」時、双方の全ての艦の攻撃力が0になり、戦闘が継続できなくなった場合は、「Stalemate(手詰まり)」として、「宇宙戦闘」が終了することが明文化されている。
・引用
「Stalemate results if the ships in combat cannot destroy each other. For example, combat between two transports ends in stalemate because neither ship is equipped with weapons. However, if there is an attack type that one ship can use to destroy the enemy, combat continues until the ship uses the appropriate attack type successfully. For example, if a ship can only destroy the enemy by making a suicide attack, then combat continues until the ship destroys the enemy with a suicide attack.」

(11).輸送艦は移動フェイズ中、3回の積み荷の積下ろしができる、とされている。
・引用
「During the First Movement phase and Second Movement phase, a ship can carry three loads of cargo.」

(12).「モニター艦」「戦闘機」は「補充」できないことが明文化されている。
・引用
「Note The Imperium does not provide replacements for non-ship units, fighters, or monitors.」

(13).「B」、「B2」、「BB」とも、全て維持値は「6」である事が明文化されている。
・引用
「Dreadnought …… Maintenance cost:6 RU」
「Improved dreadnought …… Maintenance cost:6 RU」
「Battleship …… Maintenance cost:6 RU」

(14).M、B、B1、B2、BBの各ユニットは降下兵しか積載できない、と規定されている。
・引用
「The following ships can carry cargo:
Battleships, dreadnoughts, improved dreadnoughts, and monitors can carry one jump troop.」

(15).「輸送艦」は「亜光速移動」が行えない、と規定されている。
「Transports can hyperspace jump, but they cannot travel by sublight.」

(16).不況イベントはそれがでたターンの予算を-10ルーする。0Ru以下になると
続く3ターン予算が1Ruになる、と規定されている。
・引用
「Due to decreased economic activity in the Imperium, your budget is reduced by 10 resource units (RU) for the current game turn. If deducting 10 RU from your budget decreases your total income to zero or less, your RU is instead reduced to 1 for the next three game turns. If the Imperium experiences a boom during the three game turns, the depression ends immediately and is replaced by the effects of the boom.」

(17).コンピュータ処理上行われたと想定される変更点
 a.新規生産&補充ユニット登場の為、ターンの最初に「配置」フェイズが設定されている。
 b.キャンペーンゲームは無い。「一戦争」(1ゲーム)のみである。
 c.「補充フェイズ」が設けられ、ターンの最後に「補充」が行われる事になっている。


・おわりに

 執筆、編集、掲載等、御協力して下さった方々には重ねて御礼申し上げます。
 また、この素晴らしいゲームを(たとえ誤った形であれ)日本で広く紹介、普及させて下さったホビージャパン社にも感謝の意を述べさせて頂きます。

 以上で、ルール訂正&解説は終わりです。

 適切なルール、適切な環境は整いました。後は皆様方の御活躍次第です。

 他に何かわからない点や、お問い合わせ、「私とインペリウムしませんか?」などの熱い御意見、御要望がおありの方は、編集者までメールをどうぞ。

 なお、トラブル発生を避けるため最終的文責は編集者に帰属しておりますので、御問い合わせは直接編集者宛に御願いします。

 ちなみに、私は「5 未解決の争点」の項目は全てA案を採用しております。
 御問い合わせやインペリウムへ御誘い下さる方は、その辺御留意して頂けると幸いです。

 また、作戦研究等を検証、討議してみたい方は是非Nifty-FGAME1フォーラムで発表して下さい。色々な方々の賛意、反論、検証、つっこみ&ボケ等色々様々な有意義かつ愉快な反応(レスポンス)が返ってくる事でしょう。FGAME1フォーラムの「インペリウム」通の方々は、皆様方の御来訪を楽しみにしております。

 では、「帝国」(インペリウム)の復活を祈りつつ、そして、銀河系、太陽系での皆様方の今後の御活躍、御検討を期待しつつ、ルール訂正&解説を終わらせて頂きます。


 平成10年7月吉日 編者こと高濱 剛



・Ver.3.00 改訂時の追記
 最近、多忙のため、編者はNifty-FGAME1フォーラムを殆ど覗いておりません。
 申し訳ありませんが、会議室でインペリウムについて発言して下さった方は、その旨、編者の方までメールして頂けると助かります。
 また、多忙のため、これからはファイルの改訂を「1年毎」のペースで行う予定です。宜しく御理解、御了承の程、御願い申し上げます。

・Ver.4.00 改訂時の追記 '00/11/18
 最近はインターネット上での議論が盛んです。「Nifty-serve FGAME1フォーラム:ウォーゲーム会議室(FGAME1/7)」にアクセスできない方は、「シミュレーションゲーム共用掲示板」内「インペリウム会議室」(http://homepage2.nifty.com/trajan/bbs/index.htm)をご利用下さい。
 多忙なのはあいかわらずですので、当該会議室でルールに関する話題を発言して下さった際は、私の方までメールして頂けると嬉しいですね。


・執筆、掲載、協力者名等一覧(順不同)

 編集及び執筆
  [JBD04112 TEITEI]こと高濱 剛 (Email:takahama.tsuyoshi@nifty.ne.jp)
 執筆、掲載協力
  Nifty-serve FGAME1フォーラム有志の方々
  「シミュレーションゲーム共用掲示板」内「インペリウム会議室」有志の方々
  ハナザー大将氏
  Giftzwerg氏
  Escher氏
  山本 親吾氏
  AMI氏
  田部井 真史氏
  「Game Journal」誌 松家 進氏
  「Game Journal」誌 オンライン投稿担当(当時) 井村 正桂氏
  「Game Journal」誌 ホームページ担当 宰田 敬一氏


・付録
Ver.3.00からの主要変更点 '00/11/18

一.ゲームデザイナー本人(Marc Miller氏)からの情報より、以下の争点を解決
 3.1 「砲台」設置後の再配置の可否
 3.2 「反撃フェイズ」時、地上ボックスにいる艦艇の恒星ヘクスへの戦闘参加の可否
 3.3 「空母」による「収入」時の連絡(接続)妨害の可否
 3.4 「整備と生産フェイズ」のシークエンス
 3.5 「内戦」時、介入に必要な最低ミサイル力数

二.上記以外で解決された以下の争点を追加・解決(ゲームデザイナー本人からの情報)
 4.1 タンカーを用いた移動
  4.1.1 第3種星系にタンカーを移動させた場合
  4.1.2 第3種星系からタンカーを移動させた場合
  4.1.3 移動を停止した宇宙艦
 4.2 反撃艦隊のスタックの位置
 4.3 帝国の「補充」の配置場所

三.以下の「未解決の争点」を追加
 5.1 「砲台」の初期配置
 5.2 戦闘解決箇所の判断
 5.4 「撤退/非撤退」の宣言
 5.5 地上戦闘の選択
  5.5.1 地上戦サブフェイズ時の攻者側全滅の可否
  5.5.2 反撃フェイズの地上戦サブフェイズ
 5.7 連星ヘクスにおける整備
 5.8 「戦時急造許可令」の対象艦
 5.9 「好況」と「不況」と「直訴」の増収(「10ルーを与える」)の適用時期
 5.10 「不況」の適用方法
 5.11 盤外への出入り
 5.12 「平時における植民地化」と第3種星系


Imperium
「『帝国』の復活」対戦用チェックリスト '00/11/18版


一.確定ルール

1.初期配置時の「結ばれる」の意味は、「収入」の「連絡のつく」と同じ意味。

2.「第3種星系」を通って初期配置は行えない。

3.「タンカー」は「第3種星系」ヘクスに直接置かなければ意味がない。

4.「タンカー」は、自身が移動を開始する時、または移動停止後、他の宇宙艦に燃料を補給できる。

5.「タンカー」が第3種星系から移動する際は、当該第3種星系にいる艦にしか燃料補給できない。結果、その移動フェイズ中、他の宇宙艦は当該第3種星系を通過できなくなる。
 但し、移動フェイズ開始時に「タンカー」と同じ第3種星系にいた宇宙艦は、燃料補給の結果、移動できる状態になる。

6.「移動フェイズ」中または「反撃フェイズ」中、宇宙艦は移動を一度停止すると、移動できなくなる(一度停止した後に燃料補給された場合でも)。

7.「特別移動フェイズ」時、一スタックの反撃艦隊は3ジャンプの範囲なら任意に分散して移動できる。

8.「特別移動フェイズ」時、選択できる反撃艦隊のスタックは「恒星ヘクス」か「地上ボックス」のどちらか一方のみ。

9.「反撃フェイズ」時、地上ボックスにいる艦艇は「恒星ヘクス」で発生した戦闘に参加できる(反撃フェイズプレイヤーのみ可。相手側は不可。また、反撃部隊がいないヘクスも不可)。

10.「宇宙船サブフェイズ」時、両プレイヤーとも攻撃力がなくなった場合、「宇宙船サブフェイズ」は終了する。

11.「砲台」の対空射撃能力は「前哨基地」と同じになった。

12.「砲台」は設置後再配置不可

13.「整備と生産フェイズ」のシークエンスは「1.収入の計算→2.整備→3.新造部隊の配置→4.帝国の干渉→5.皇帝への直訴→6.生産」の順で行う。

14.「空母」による「収入」時の連絡(接続)妨害は可能。

15.「ルールー(Luuru)」星系はジャンプ路がなくても収入源として機能する。

16.「ヌスク/デュシャーム(Nusku/Dushaam)」星系に「ワールド」と「前哨基地」が併存している場合、「正式な整備」「辺境地における整備」の両方を行う事が可能。

17.「直訴」に必要な功績ポイントはGDW第2版(第3版)で2ポイントに変更された。

18.「直訴」の予算増額は、「一戦争中(A WAR)」のみ効力を有す。「ゲーム全体(Campaign)」ではない。

19.「直訴」の効果、「どれでも3種類授与」は「どれでも好きな『宇宙艦』ユニットを3つ貰える」と言う意味であり、3種類の「建造許可」を貰えるわけではない。

20.「内戦」の予算変化は恒久的。

21.「内戦」時、介入に必要な最低ミサイル力数は、正統派は20、非正統派は10。1ミサイル力ではない。

22.「増援」の効果は「1d6×5Ru」に変更された。

23.「名ばかりの増援」の効果は「1d6×2Ru」に変更された。

24.「攻勢艦隊表」の「与えられる艦隊」の「サイの目3」の項目が「2B1、2CA」に変更された。

25.「帝国の補充」時、補充艦の配置は、新造船配置と同じ場所に行う。

26.「帝国の補充」時、「帝国の建造制限」は影響しない。

27.「領土の交換」時、第3種星系上の「タンカー」の有無は維持状態に関係しない。

28.「平時における植民地化」と「領土の交換」の連絡チェックの方法は同じにすべき(但し、第3種星系は除く)。

29.「平時における植民地化」
 前哨基地のワールド化に「中立化したワールド」は必要ない。
 ワールド化には「累積」5平和ターン必要。「連続」ではない。

30.「プロキオン(Procyon)」−「カルガリー(Calgary)」間を結ぶジャンプ路が新たに設定された。

31.ホビージャパン社版では、ヘクス0522にある「ムカルディム」星系は、GDW第2版ではホビージャパン社版のヘクス0521にあたる場所へ移動した。

32.ホビージャパン社版では、ヘクス2602にある「ルールー」星系は、GDW第2版ではホビージャパン社版のヘクス2503にあたる場所へ移動した。

33.ホビージャパン社版では「Galactic Center(銀河核方向)」の矢印がヘクス2720から2629の向きに描かれていたが、GDW第2版では帝国本土方向に矢印の向きが変わった。


二.「未解決の争点」リスト
 チェック用のボックスをつけておきました。プレイ開始前に印をつけて御使用下さい。

1.初期配置時に与えられる「砲台」は「ゲーム中に配置」できるのか
 □ 必ず初期配置時に配置
 □ 「ゲーム中に配置」できる(未設置状態で受領可能)
 □ その他

2.戦闘解決箇所の判断
 □ 攻撃側が決定
 □ サイコロなどを用いて、無作為(ランダム)に決定
 □ その他

3.「短距離ミサイル射撃」による「防御射撃」の可否
 □ できない
 □ できる

4.「撤退/非撤退」の宣言
 □ 攻撃側プレイヤーが先に宣言
 □ 距離決定セグメントで選択権を得た側
   どちらも得ないときは前の距離決定セグメントで選択権を得た側
   (第2セグメントでどちらも得ない場合は帝国)
 □ その他

5 地上戦闘の選択
 □ 地上戦闘を行うか否かは、攻者側が任意に選択できる(メイアタック)
 □ 地上戦闘時、攻者側はかならず攻撃しなければならない(マストアタック)

6.地上戦フェイズ時、攻者側が地上軍ユニットをもたない場合
 □ 地上戦闘を行うか否かは、攻者側が任意に選択できる(メイアタック)
 □ 攻者側全滅
 □ 設置後の前哨基地、ワールドは「戦闘の終了」の全滅の対象とならない。
 □ 攻者側に地上軍ユニットが無い場合、地上戦は発生しない
 □ 前哨基地またはワールドを有するプレイヤーは常に防者とする

7 反撃フェイズの地上戦サブフェイズ
 □ 「全ての交戦可能地上ボックス」で地上戦サブフェイズを行う
 □ 「反撃艦隊が進入した星系だけ」で地上戦サブフェイズを行う

8.チャートとユニットの相違点
 □ チャート優先
 □ ユニット優先

9.連星ヘクスにおける整備
 □ ヌスク/デュシャーム(Nusku/Dushaam)星系と同じ扱い
 □ 通常の星系ヘクスと同じ(ワールド存在時は必ず「文明地における整備」)
 □ その他

10.「戦時急造許可令」の対象
 □ 「補充」予定艦のみ
 □ ターントラック上の全ての艦
 □ その他

11.「好況」と「不況」と「直訴」の増収(「10ルーを与える」)の適用時期
 「好況」
  □ 現在のターン
  □ 次のターン
 「不況」
  □ 現在のターンから
  □ 次のターンから
 「直訴」の増収(「10ルーを与える」)
  □ 現在のターン
  □ 次のターン
 
12.「不況」の適用方法
 □ -10Ruが3ターン続く
 □ -10Ruが1ターンのみ。不足時はペナルティあり、とする
 □ その他

13.「辺境地の危機」「増援」「名ばかりの増援」「内戦」の派遣/登場
 「辺境地の危機」
  □ ハイパースペースジャンプのみ
  □ 亜光速移動も可能
 「増援」「名ばかりの増援」
  □ ハイパースペースジャンプのみ
  □ 亜光速移動も可能
 「内戦」
  □ ハイパースペースジャンプのみ
  □ 亜光速移動も可能

14.「平時における植民地化」と「領土の交換」の連絡チェックの方法は同じか否か
 □ 同じだが、第3種星系はタンカーがないので通過不可
 □ 同じ、第3種星系は通過可能
 □ 同じでない
 □ その他